豆知識

漢方の目で見る
子どもの体と健康

小児喘息

アレルギー疾患のひとつで、ホコリやダニなどのアレルゲンに対する過敏反応や、風邪による気道の炎症、精神的なストレスなどが引き金になって気道が収縮して起こる気道閉塞の発作です。 もともと気道に過敏性がある子どもがこれらの刺激をうけると、発作をおこしやすいのです。

症状

発作時は、激しい咳と痰、そして気道収縮によるゼーゼーといった喘鳴を伴う呼吸困難が起こります。 重症度は週に幾度も発作を起こす重症例から大きな発作はほとんど起こらないで経過する軽症のものまで、幅があります。 日常的にも喘鳴が出やすく、すぐに息切れがする、痰のからんだ咳をする、といった慢性症状が続く場合もあります。

治療の視点

いかに発作を起こさずに、また、発作が起きても程度が軽く抑えられるようにコントロールすることが一番の目的です。 これは、喘息の症状を重症化させないためにも重要なことですが、それ以外にも子どもが発作のために日常生活に自信を失い、気うつの状態に陥るのを防ぐ為にも大切です。 薬物治療の他に、アレルゲン生活から除去し、それ以外にも気道に対する刺激を避ける生活の注意も必要です。

▼西洋医学の眼
慢性症状の持続の有無や発作の頻度、程度などによって軽症間欠型(ステップ1)、軽症持続型(ステップ2)、中症持続型(ステップ3)、重症持続型(ステップ4)という重症度分類を行い、段階的に治療内容を変えていきます。 軽症のうちは予防的に抗アレルギー薬を継続して服用し、発作時には気管支拡張薬の吸入を行います。 重症度が進んだ場合は、気管支拡張薬の種類や吸引数を増やし、吸入ステロイド薬を定期的に使うこともあります。
成人の喘息の場合は、吸入ステロイドで慢性的な気道炎症を抑えることが治療の第一目標となりますが、小児の場合は、気道炎症はそれほど強くないので、吸入ステロイド薬の評価はまだ定まっていません。 また、成人では重症な発作にステロイド薬の内服も行いますが、子どもでは成長障害をきたすので、出来るだけ避けなければなりません。

▼漢方治療の眼
発作時は西洋薬を中心に症状を抑えるようにします。漢方治療の目的は、虚弱体質を改善したり、アレルギー反応を起こしにくく、風邪をひきにくいからだを作って発作を防ぐといった、全身症状の改善から治癒をはかります。 よく使われる処方は柴朴湯です。抗炎作用があり、胸が重苦しく息苦しい、のどに違和感がある、不安が強いような場合に使われます。
またステロイド依存症(内服ステロイドを使用していないと発作がコントロールできない)症例に併用して、ステロイド薬の減量をはかる目的でも使われることもあります。 この他、咳や痰の症状に合わせて、対症的に処方を加えていきます。

よく使われる漢方処方

柴朴湯:小児喘息には、まずこの処方を使う。神経過敏といった精神面に対しても改善効果が期待できる。

小青竜湯:薄い鼻水やくしゃみを連発するような、鼻アレルギーを伴い、透明な痰が多いタイプに。

小建中湯:虚弱体質、手足が冷たく、顔色がよくないタイプに、体質改善を目的に使う。

補中益気湯:小建中湯と同様に、虚弱体質改善に使う。夏に体調を崩して発作が強く出るタイプに特に効果が期待される。

麻杏甘石湯:比較的元気で血色のいい子どもで、咳き込みやすい症例に。ゼイゼイいう乳幼児の喘息性気管支炎や、軽症の発作にも効くことがある。

※麻杏甘石湯や小青竜湯などに含まれる麻黄は、体質の違いによって食欲不振やアトピー性皮膚炎の悪化などを引き起こすので使い方には注意します。

小児喘息の漢方治療の考え方
急性期 口が渇き、呼吸困難が強い場合 麻杏甘石湯
慢性期 すべての小児喘息に対して鼻アレルギーを伴い透明な痰が多い虚弱体質に 柴朴湯、小青竜湯、小建中湯