豆知識

漢方の目で見る
子どもの体と健康

蓄のう症(慢性副鼻腔炎)

鼻の内部は、広い鼻腔とその周辺にある副鼻腔といわれるたくさんの空洞で形成されています。鼻腔と副鼻腔は自然孔といわれる小さな穴でつながっていて、副鼻腔の中の分泌物は鼻腔へと排出されます。 風邪やインフルエンザなどの感染、扁桃炎、またはアレルギー性鼻炎の影響で副鼻腔の粘膜が慢性的に炎症を起こした状態が、慢性副鼻腔炎、つまり蓄のう症です。

炎症が高じると、自然孔がつまって副鼻腔内に膿がたまるようになります。

症状

鼻がつまる、粘り気のある黄色い鼻汁が出るのが蓄のう症の従来のイメージですが、現代は、鼻汁がのどに流れる後鼻漏という症状が多くなっています。 そのため、痰を伴った咳が慢性的に出たり、気管支炎や肺炎などの原因にもなります。鼻腔や副鼻腔の炎症が中耳に及んで、中耳炎を起こすこともあります。 また、頭が重い、集中力がない、疲れやすいなどの全身症状も出ます。

治療の視点

▼西洋医学の視点
鼻づまりに対しては、鼻の吸引を行います。 炎症に対しては、抗生剤や抗炎症薬の服用や鼻への吸引といった方法で投与します。 これは、一般的に鼻汁を押さえる効果はありますが、根本的な治療にはなりません。 アレルギー性鼻炎や扁桃炎などがある場合は、それに対する治療を優先します。

▼漢方治療の眼
頭が重いといった訴えがあれば葛根湯、鼻ずまりが強ければ葛根湯加川キュウ辛夷を、後鼻漏や副鼻腔内に膿がたまっているような場合は辛夷清肺湯や排膿散及湯を使います。 これらは排膿促進作用のある処方です。 また、アレルギー性鼻炎が関係している場合は小青竜湯、風邪を引きやすいなど、虚弱なタイプには黄耆建中湯や補中益気湯を処方します。 これらの方剤の長期投与により、大半の例は改善されます。