漢方の目で見る
子どもの体と健康
はっきりした定義はありませんが一般的には、5歳を過ぎても月1回以上おねしょをしてしまう場合、夜尿症と考えます。
子どもは基本的に睡眠が深く尿意を感じてもなかなか目が覚めない、膀胱の働きが未熟でたくさんの尿をためておくことができないなど、おねしょをしやすい条件が揃っています。それに加えて親子関係に対する欲求不満など、心因性の要因などが複雑に関与して夜尿症となると考えられています。
日中はおしっこをなるべく我慢して、膀胱におしっこを溜める訓練をします。 また、尿意を感じたら目が覚める条件反射を作るための様々な工夫もします。 親が厳しすぎたり、弟や妹などにばかり注意を向けているなど、親子関係でストレスを感じている場合は、親子間で十分なコミュニケーションをとるように心がけます。
▼西洋医学の眼
飲めばぴたりと夜尿症が治るといった特効薬はありません。 一般的には抗うつ剤がよく使われます。 また、バソプレッシンという抗利尿ホルモンを点鼻する治療法も効果が期待できます。
▼漢方治療の目
漢方薬も特効薬はありませんが、虚弱体質や精神的な要因の改善や、水毒を改善することで水の飲み過ぎを抑えるなどの処方で効果が期待できます。
小建中湯:虚弱な体質で、手足が冷えやすく、日中の尿の回数も多い。風邪をよくひきやすいようなタイプに。
桂枝加竜骨牡蛎湯:虚弱傾向があり、ストレスに過敏に反応して精神的な要因が強い夜尿症に。
柴胡桂枝湯:それほど虚弱ではないが、精神的に緊張が強く、ものにこだわりやすい性格に。
五苓散:比較的元気で、日中から水分を大量にとるが、尿量はそれほど増えないタイプに。
白虎加人参湯:普段から元気で水分を大量にとり、尿量も多いタイプに。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯:手足が冷たくしもやけなどを作りやすい体質で、特に冬に夜尿症が悪化するタイプに。