豆知識

食べてもええもん
食べたらあかんもん

第10回 妊娠・授乳中は、何を食べたらいいの?

食物アレルギー発症は予防できるか

食物による感作は、出生後の赤ちゃんの経口摂取による感作に限らず、お母さんのお腹の中にいるときの影響(胎内感作)やおっぱいによる影響(経母乳感作)なども影響しています。上の子が何らかの食物アレルギーであった場合によく質問されるのが、お母さんの妊娠中の食事と授乳中の食事をどうしたらいいかということです。このことに関しては、以前よりさまざまな研究がなされています。

アレルゲンの摂取をきっちりと中止するほうがいいとか、アレルゲンの摂取とアレルギー疾患の発症には因果関係はないとかで、これといった決定的な報告はされていません。先日、日本小児アレルギー学会・食物アレルギー委員会がまとめた『小児の食物アレルギー』という小冊子の中では、次のようにまとめられています。

「母親に対して、妊娠後期のみの食物アレルゲン除去を行っても、児のアレルギー疾患の発症に対する予防効果は低いが、妊娠後期から授乳期にかけての母および児に対して食物アレルゲンの除去を行うと、乳児期までの食物アレルギー疾患の発症に対する予防効果が期待できる。ただし、乳児期以降のアレルギー疾患の発症予防は期待できない」

つまり、妊娠中や授乳中にはアレルゲンを食べないほうが良いかもしれないが、食べなかったからといって、アレルギー疾患の発症予防は確実ではないということです。

でも、ほんまのところは?

私の診療所では、第1子が重症の牛乳・卵アレルギーだった場合などには、お母さんが妊娠とわかった時点から、それらのアレルゲンを除去するように指導しています。ただし、その除去がアレルギー疾患の発症の抑制を確約するものではないことを、十分に説明しています。

第1子が軽症の場合では、「きっちりやめなくてもいいから、毎日摂るのはやめときや」と指導しています。実際に治療していますと、妊娠・授乳中に極端な食物除去を行ったと考えられるケースがみられます。でも、自分勝手に思い込んだ極端な食事制限は、絶対にしないでください。

「あかんもんは食べへんほうが、安心」という考え方もあるのですが、やっぱりはっきりとした結論が出ていませんので、極端に走るよりは心身ともにリラックスして臨むべきでしょう。

アレルギーを起こさないためだけではなく、母子両方のためにまんべんなく、いろんな食べものをバランスよく食べていけばいいのです。