豆知識

食べてもええもん
食べたらあかんもん

最終回 歌うこころ

「人々が相集まって歌うのは、すばらしいことだと思う。性差や年齢の違いを越えて、共に歌うのは、すばらしいことだと思う。人間の生き方は、人によって、それぞれ、さまざま。

だが、合唱(コーラス)の美しい響きをつくりだすには、他人(ひと)のうたを聴かなければならない。

そして、他人(ひと)はまた自分の声に耳を傾けているのだということを知らなければならない。うまく歌うのもだいじだけれど、合唱(コーラス)で何よりもだいじなのは、互いを信頼し、敬うこと。他人(ひと)の声を好きになること。

そして、人間(ひと)はそれぞれの顔かたちと同じように、めいめい違った声を持っている のだということに、驚きと歓びが感じられたら、あなたの合唱(コーラス)は、きっとこれまでより多くのひとの心をうつだろう」(武満徹著『時間(とき)の園丁』より 新潮社刊)

武満さんは、今世紀最大といっても大げさではない日本の誇る作曲家でしたが、数年前に亡くなられました。その音楽は、ほとんどが一回聴いただけではなかなか取っつきにくい現代音楽なのですが、わかりやすい映画音楽も多数書いておられます。

アレルギーの治療をするに当たって、患者も医者も互いを信頼し、互いの話をよく聞くことが大切です。「歌うこころ」は、私たちの社会生活にも通じる「こころ」だと思います。こうした「こころ」を日常生活のなかでも生かせたら、エゴと対立の渦巻く世の中がずいぶん良くなると思います。

アトピーの治療に王道はなし

医者になって二十数年、当地に佐守小児科を開設して13年目に入りました。私はこれまでアレルギー疾患の患者さんに限らず、さまざまな疾患の患者さんに出会い、その病状に対して、その時点で自分の集約できる限りの知識を集め、最良と考えられる治療をしてきたつもりでした。

開業してからは、興味があったと言うよりも、ライフワークのようになってしまった食物アレルギーに対する時間が増えました。アトピーというわけのわからん病気に立ち向かっている同志の先生方や、戦友ともいえる患者さんとその家族の方々に、教え、教えられ、今日に至りました。

1カ月前には「これでええ」と思っていた治療方法が、見直さなければならないことだってあるのです。アトピーの治療に王道はなしです。私のやっていることだって「これで治る」といいたいけれども、そんな簡単なもんやない!昨日いったことでも、今日は違うことをいい、あしたには、どないなってるのかわからへんのがアトピーの治療の本質かもしれません。

「食べてもええもん、あかんもん」は存在する

でも、この連載の表題の「食べてもええもん」と「食べたらあかんもん」の概念は間違いなく存在するのです。今後よりいっそう、「歌うここう」をもって、みなさんと一緒にアトピーに立ち向かっていきたいと思います。