食べてもええもん
食べたらあかんもん
食物アレルギーの治療がひと筋縄でいかないのは、食物アレルギーは患者ごとのオーダーメードの医療が要求されるからです。それぞれの患者ごとに原因となる食物も異なれば、食物アレルギーが治っていくパターンも異なっています。
卵や牛乳のアレルギーはそれぞれ最近の研究の進歩によって、さまざまな対応をとることができるようになってきています。卵や牛乳は代用食品が開発されており、もちろん簡単ではありませんが、私たちも比較的指導しやすく、患者さんも実践しやすいと言えます。
厚生労働省の食物アレルギー対策検討委員会の調査によると、即時型食物アレルギーの原因食品は、鶏卵、乳製品、小麦、そばに次いで魚類が上位に出てきています。
食物日誌をつけて、卵や牛乳やその他の怪しいと思われる食べものを食べないでいるのに、魚を食べるとどうやら怪しい。時間をあけて同じ魚を食べてみても、やっぱり出る。しばらくしてから違う種類の魚を食べてみても、やっぱリダメ、というようなことは、しばしば見られます。
どうしたらよいのか?
魚が原因だと疑った場合には、食物日誌を利用して、詳細な魚の摂取歴を調べる必要があります。仮性アレルゲンのところでも説明しましたが、鮮度の落ちた魚や缶詰の魚には、仮性アレルゲンが大量に含まれています。魚自身の持つ抗原が関係している場合と、仮性アレルゲンの影響を受けている場合があります。
実際に魚を除去していく場合、魚間の交差抗原性の問題はありますが、すべての魚を中止しなければいけないわけではありません。魚は大切なタンパク源の一つです。私たちは、東京医科大学式食物制限表の中から、魚介類を抜粋し、四季を考慮した旬の魚の選択表を製作し、患者さんの指導に利用しています。
魚アレルギーの治療の進め方のポイントを示します。
1. 養殖ものの魚や鱈には注意が必要
2. 塩鮭やアジの開きなどの干物類は仮性アレルゲンを多く含む
3. 抱卵期の魚は卵アレルギーに対しての注意も必要
4. 調理の際には2度洗いや2度炊きが必要な場合もある
5. 生食は避ける
6. 魚屋のおっちゃんと仲良くなって、旬で新鮮な食材の情報を得る
7. 得体の知れない名前の魚には注意する